3月11日 Sabato
電車を逃してしまい途方に暮れた私たちは、まずはあちこちの人に電車以外の方法がないかを聞いて回りました。しかし残念ながら、答えは"no"。
私たちは、3時間待つのも、諦めて帰るのも嫌だったので、思い切って歩いてみることにしました。ついでに運よく乗せてくれる車があるかもしれないので、同時にヒッチハイクをすることにして。
※注!
イタリアでは(というかどこでも?)ヒッチハイクは絶対にしてはいけません。挑戦した私がいうのは変な話ですが、思っていたよりもずっと危険なことのようです。イエジが安全ですこし気が緩んでいました。私も以後断じてしません!のでご安心を。
途中から手ごたえのないヒッチハイクは諦め、二人で黙々と、隣を走る線路を頼りに歩き続けました。道に咲く桜のような花を写真に収め、「こんなことでもない限りこの道を歩くことはなかっただろうね〜。面白いもんだね。」なんて言って慰めあいながら・・・。
しかしどれだけ歩いても、GENGAの一つ前に見えるはずの駅さえ見えてきませんでした。いつからか、足元には今朝降ったらしい雹(ヒョウ)がまるでお米をばらまいたように白い粒になってたくさん散らばっていました。雹は積乱雲から降り、主に雷雨に伴って降るそうですが、実際に見たのは初めてでした。雷が鳴っていて怖かったけれど、足元で雹がくだける音はシャリシャリと心地よかったです。
2時間くらい経ち、ようやくGENGAの一つ前の駅、SERRA S.QUIRICOが見えてきました。道行く人にGENGAまでの道を尋ねると「歩くと30分くらいかかるわよ。」と言われました。この時30分を近いと感じたのは言うまでもなく、後戻りのできない私たちは士気を高めて歩き出しました。
ようやく"Grotte di Frasassi"の看板が見えてきたところで、今度はなんと目の前に大きなトンネルが。・・・。このトンネル内は歩けるんだろうか・・・。一抹の不安を感じつつ、近づいてみようとしていると、近くの工場から出てきた車から呼び声が。聞けば「そのトンネル内を歩くことはできない。」とのことでした。そんな・・・ここまで来たのに。この道を戻るのはあまりにも悲しい。
がっかりしながらも、一筋の希望にかけて彼に成り行きを話しました。「GENGA駅で降りそびれて、次の電車が13時にしかなくて、ここまで歩いて来たんです。」ああ、今日は何回このセリフを言っただろうか。すると彼が「じゃあ、GENGAまで行ってあげるから、乗りな。」と言ってくれたんです!夢にまでみたこの言葉。「あなたは本当に親切な人ですね。助かりました。ほっとしました。」と分かる限りの安心感と感謝を述べてみました。
実際に車に乗ってGENGAへ行くと、長い長いトンネルが続き、徒歩ならあと30分程はかかっただろう道がありました。私たちは無事、鍾乳洞のチケット売り場まで送ってもらい、彼に手を振りました。本当に、たどり着いてよかった。彼に声をかけてもらえてよかった。安堵感でいっぱいになった二人は、軽い昼食をとったのでした。
鍾乳洞は一人13ユーロ。専用のバスに12:30に乗り込みました。同乗者は同じガイドから説明を聞きながら歩きます。一般公開されている見学コースは約1.5km。既に3時間近く歩いた私たちには結構きつかったのですが、それを忘れさせるくらいの見事な鍾乳洞でした。とにかく天井が高く、またライトアップが白とクリーム色、群青色とあり、光の使い方で随分印象が違いました。ちなみに、私は映画『グーニーズ』が好きなのですが(子どものころに見てそれ以来大好きな冒険映画です。)、鍾乳洞はグーニーズの世界にいるみたいでわくわくしました。
帰りに駅近くのレストランに寄り、そのレストランにいた地元の男性グループからワインを一杯ごちそうになりました。店に入ってからずーっと、遠慮なくじろじろ見られていて「食べづらいなぁ・・・。」と思ったのですが、お店の方から「これはあちらの方々からです。」とワインが出てきたときには、イエジにはない”イタリアらしいシチュエーション”に思わず笑ってしまいました。
帰りはその彼らがイエジまで送ってくれると言ってくれたのですが、いわゆるイタリアらしさに慣れてなかった私たちは断ってしまいました。その後全くしつこくすることなく「それじゃ楽しんで食事していってね」といって去っていった姿を見て、友達を作るチャンスを逃したかな〜と思ったのでした。(イエジではなかなか友達が出来ないのです・・・)
長かったGENGAへの旅も、帰りはスムーズに電車に乗ることができ、無事幕を閉じました。振り返るとなんだか可笑しいことだらけですが、鍾乳洞は素晴らしかったしイタリア男のナンパ術?も垣間見れたし、なかなか楽しい一日でした。
 
※GENGAにはテルメとよばれる温泉もあるようなので、凝りもせず今度は夏に行ってみたいと思いました♪